インサイド・ルーウィン・デイビス


映画や音楽がすごく好きです。ところが最近は10代や20代の頃に比べると、時間や気持ちに余裕がなくなったのか全体的な摂取量が減ってきています。
放っておくといつしか自分の中にあるその手の好奇心が枯渇してしまうのではと怖くなり、無理してでも自ら触れにいく努力を始めました。勝手に。

で、ツタヤで見つけた1本がこれ。
愛すべきコーエンブラザーの最新作?です。

60年代アメリカのフォークロック黎明期に実在したであろう、決して後世に名前が残ることがない、しがないミュージシャンの1週間を記録した映画です。
地味です。展開に起伏がありません。事実、途中から寝ました。
ただ、所々、心に残るシーンやセリフやらがあって、やっぱもう1回見ました。

コーエン兄弟の映画はだいたいいつもそうです。
決して夢や希望やファンタジーは描かないから、平坦な展開になります。
エゴや理不尽さや未熟さ等、人間の弱い部分を、淡々とおかしみを持って描くのが真骨頂ですから。

そんで、じっくり観てみると、じんわりと愛おしい作品でした。

自分のプライドや過去に翻弄され不器用に生きる主人公を、突き放しつつも、
最後には温かく受け入れる映画になっています。淡々と。猫と大学教授の家族が効いています。そしてキャリーマリガンの可愛さが異常です。はっきりいって男性陣はこの手の女子に一番弱いです。僕だけかな。

社会や家族が期待することに器用に立ち振る舞う人間も素敵ですが、
やっぱりどこか抜け目があって不完全な人間の方に惹かれてしまうものです。
建物やらお店やらも同じ気がします。ガチガチに一寸の狂いもなくデザインされた空間よりも、完成しているのか途中なのか分からない、ほどよくスキがある空間の方が心地よかったりします。

特に名作ってわけでもないですが、
テキトーにお酒でも飲みながら1人で観るのにちょうどよい映画です。

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