圏外編集者


少し前までは、とにかく面白そうな本を手当たり次第読むという読書習慣でしたが、最近は「いいな!」と思った本を何度もじっくり読むというスルメ型読書に移行しつつあります。

で、この本。圏外編集者。今年後上半期一番噛み締めているかもしれません。

著者は「TOKYO STYLE」や「ヒップホップの詩人たち」の都築響一さんです。
ここまで編集者としての商売道具である「視点」をさらけ出していいものか。
本人は「編集術」とか期待するなと申しておりますが、結果的に本質的な「編集術」が詰まっています。たった1650円に。ラッキー。

いつも何か価値あるコトやモノやヒトは、自分の生活からかけ離れた、メディアの中の遠い場所にあると思い込みがちですが、実はそれはすぐ隣にある。ふつうのリアルの中にもある。自分が感じたものの中にある、ということが力説されております。基本的に。たぶん。

自分も編集の仕事をかじっていながら安易に雑誌やネットの情報を鵜呑みにしてしまいます。ミーハーなので結構踊らされます。月並みですが、「自分を信じること」を放棄してはいけないと怒られているようで、都築さんが綴る言葉達が胸に突き刺さりました。

東京カレンダーで見た中目黒や代官山にある店も美味しいけど、実は、家の隣のサミットの横にあるビストロが一番美味しかったりする。
美術手帖で取り上げられる程ではないけど、アーティストとして頑張っている友人の絵が一番好みだったりする。

自分が先に「いいね!」というのはものすごく勇気がいるけど、検索せずとも、
前に進める大人になりたいなと思う次第です。もう大人ですが。

メディア関係者はよくも悪くも必読の一冊かと思われます。

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