レベナント
子供の頃、両親から教わりました。
世の中には2種類の映画がある。映画館で観なければいけない映画と家でポテトチップスかじりながらスマホ片手にDVDで処理してもよい映画があると。
で、今回観た映画は間違いなく前者でした。
上映当時「ディカプリオ感ですぎでしょ。ふーん」ぐらいの気分で軽くスルーして、DVDでとりあえず鑑賞してしまった己の浅ましさと傲慢さを激しく呪いました。
熊との格闘シーン。
大雪原の中、馬の躯体で暖を取るシーン。(これはマジでやばい。やばすぎる)
もはや動物と人間の境目を越えてしまったディカプリオ氏。
文字情報や静止画では到底描くことができない表現の連続に圧倒されます。
自然光だけで撮影していることで、余計に臨場感が付加されています。これは絶対に映画館で観るべき映画だったと。激しい自己嫌悪に襲われました。
執着することで生きられる。生かされる。
よくも悪くも何かに執着することで前へ進める。
人間を動物レベルの本質まで落とし込んで描いています。
「アモーレスペロス」から始まり「ビューティフル」「バードマン」然り、この監督の映画はだいたいいつも同じ読後感です。「生きる」を描くのが大好きな監督だなと。
興味が湧いてきたので、監督をWikiって調べてみました。
驚きました。点と点がつながったというか。「アモーレスペロス」を作る前に、やはり自身の息子さんを亡くしているのですね。喪失体験がすべての表現の原動力となり、喪失体験があるからこそ、逆に光に敏感なのだなと納得しました。
これは本当に平々凡々と生きてきた自分には到底理解できないテーマです。
環境に生かされてしまっている人間には共感できようがない表現というか。
悔しいですが、この映画を消化できる程、「生きる」と向き合ったことがない。
「世界は自分のレベルに応じた姿でしか見えない」とはよくいったもので、本当に映画や本、音楽とは自分を映す鏡なんだなーと。
まだまだ圧倒的に経験が足りないことを痛感する映画でした。
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