GET DOWN


「連続ドラマと漫画とウィニングイレブンとは距離を取って生きていかなきゃだめよ。人間をダメにするから」と子供の頃から母親に言われ続けて育ってきました。だから生まれてこのかた、その諸悪の根源たちには近づかまい近づかまいと気を張ってきましたが、今回は無理です。面白すぎます。

はい。ダメ人間製造業者として悪名高いNETFLIX社が配信するHIPHOPドラマのことです。音楽とか歴史が好きな人は絶対見た方がいい。

1970年代のHIPHOPが産声をあげる黎明期を史実に基づきフィクションとして再構築しているのですが、リアリティがあるし、HIPHOPという文化を深く理解する手引きとしても秀逸です。恋愛ドラマの要素も縦糸に絡めてくるあたりも憎いです。

30年前のサウスブロンクスの惨状には驚きますよ。不動産オーナーが賃貸で運用するよりも、火災保険の方が実入りがいいからとギャング達を雇って自分のビルを放火させるという風習があったそうで、ストリートは毎日火事の嵐でほとんど戦場と化してたんですね。
そんな絶望的な背景の中から、持たざる者である黒人や移民の青年たちが、言葉や知恵や遊び心を武器に、カルチャーを発明し未来を切り開いてくプロセスが痛快で最高に面白い。ヒロイン役のディーバの女子も非常にセクシーです。

歌のパートになると踊りづらいから、ドラムの部分だけ繰り返して欲しい。
暴力には辟易してるから、言葉でバトルする。

理屈ではなくて、「踊りたい」「歌いたい」「騒ぎたい」という直感が先行して技術や手法を形作っていたことがよく分かります。第6話の最後のブロックパーティーのシーンなんて理屈抜きにカッコいい。

いつの時代もカルチャーが生まれる原動力って、「楽しみたい」という人間の熱量なんだと再確認しました。全然合理的でない。

セカンドシーズンは来年から配信ということらしいです。
それまで一旦解約してまた登録するのとか面倒だから、このまま登録したまま月額料金を払い続けるという、NETFLIX社の戦略にまんまと引っ掛かっております。

でもなんかコロンビアの麻薬王のドラマとかも面白そうだから、まあいっか。



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