桂離宮
30歳を過ぎる頃から突如京都が好きになりました。ベタですね。
徒歩やチャリで回遊できる街の規模感がいいし情報量も東京に比べてちょうどいいし女子の京都弁は可愛いし。でも一番好きなのは庭園を眺めることです。
自然環境を巧みに取り入れ、人間の身体感覚を操作しながら、世界観を表現しようとする総合芸術感にひどく心を惹かれるようになったからです。当時の創作者たちの気持ちに思いを馳せながら眺めるのが段々と楽しくなってきました。ガイドさんがいるなら素直に話を聞いた方が10倍楽しめますよ。前情報に頼らず感じ取るのもいいですが補助線があった方がより世界が深まると思います。
で、先日ついにその最高峰と目される桂離宮に潜入することが出来ました。
(なんと今年から当日受付枠が新設されたのです)
藍色のグラフィカルな市松模様が印象的な松琴亭も古書院の月見台も噂に違わぬ建築的な美しさを堪能できましたが、何より感服してしまうのは、庭園の入り口から出口に至るまで鑑賞者の心を掴んで離さない全体構成です。グランドデザイン的なやつ。修学院離宮でも同じことを感じましたが桂離宮の方がより緻密で洗練されています。
生け垣や松で視線を遮りながら安易に全体像を把握させない動線。
飛び石の不安定さで足下に注意を集めさせた後に絶景を用意する仕掛けなど。
立ち位置によって庭園が見せる表情が刻々と様変わりしていくので、最後まで期待感を保ったまま鑑賞できます。いい意味でイメージが固定されないので、もう一度来たいと思ってしまう。限られた敷地面積の中でも、無限の広がりを感じてしまうような錯覚。子供の時に初めてディズニーランドに行った後の浮遊感に似ていますね。
手持ちの素材を最大限に味わってもらうために、どういう順番で見せてどう伝えるか。
サービス精神の極致であり、創作活動の要諦がびっしりと詰まっておりました。
誰がどんなプロセスで構想したのかが超気になります。
図面とかパースとか手書き?現場での想像力だけなのかな。
プロフェッショナル仕事の流儀で密着取材して欲しいぐらいです。
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