ロシアW杯 グループリーグ編


ロシアW杯が、大方の予想を裏切る形で、W杯史上最高レベルのクオリティとエンターテイメントを届けてくれて、フットボール星の住民である自分は、多幸感で一杯です。

ロシア対サウジアラビアの開幕戦から、グループリーグ最終節のベルギー対イングランドまで、数試合の凡戦は確かに存在したものの、ほぼ全ての試合でスペクタクルと緊張感、ドラマ、カタルシスが漲っていました。

ざくっとその理由を考えると、

①ロシアの比較的涼しい気候環境。
②開幕戦のスペクタクルとその翌日のイラン対モロッコ、スペイン対ポルトガルの熱戦。
③弱小国/中堅国の戦術的な成熟とハードワーク。

ですね。序盤の接戦とオープンな打ち合いが起爆剤となり、大会全体のボルテージをあげ、それ以降に登場したチャレンジャーらのメンタルを覚醒させるという好循環が生まれました。番狂わせの波が、王者らのリズムを狂わせ、そのおこぼれが我が国にも巡ってきた格好ですね。

長期的な強化プランを綿密に組み、準備万端で現場に乗り込んだとしても、開催国独特の空気感や大会全体が醸成するストーリー、度重なるハプニングなどに、短期的にアジャストする柔軟性と逞しさも備えていないと、結果が出ないという究極レベルに総合力が問われる戦いであることを痛感しました。やはり、チームがコンパスとして持ち合わせているべき“経験値”(選手でも監督でも)はかなり重要。

そういう意味で、日本代表は偶然も手伝ってスムーズに大会に溶け込めたのだと思います。

コロンビアとの初戦で起きた「前半3分の奇跡」という全宇宙が想定していなかった特大ハプニングを前に、最初の45分間は全力で戸惑い迷走したものの、ハーフタイム明けでしっかりと状況を整理し、プレーのビジョンを共有して修正してきたくだりが、この度の大躍進を決定づけた分岐点だったといえそうです。(このハーフタイムのロッカールーム内での西野さんの振る舞いをあとでNHKのドキュメンタリーで見たいです)

フットボールの楽しさ、面白さを骨の随から理解していたつもりでしたが、まだまだ甘かった。今回のロシアW杯が、次々と、その楽しさ、面白さを更新して迫ってきます。進化し深化して神化するフットボールの底知れぬポテンシャルに平伏すばかりです。

「筋書きは多少はあるのだけど、やっぱり筋書きがないドラマ。」

高度なデジタル化、情報アルゴリズム化が加速し、確実性や予測可能性や再現性ばかりが重宝され、それらが支配する無機質な世の中だからこそ、フットボールが孕む「神がかった複雑性」は眩いばかりの輝きを放ち、世界中の人々を熱狂させているのでしょう。人間回帰!

ベストシーンは次の3つ

①トニークロースのロスタイムFK弾

信じられない時間帯に信じ難いほど正確なキック。超一流のスタンダードを見せつけられました。絶対安心のクロースブランド。

②メッシ様のスライディングタックル

ロシアW杯のレベルの高さを象徴しているワンシーン。神様が地べたを這いつくばり、泥にまみれないと勝てないレベル。そこまでして勝ちたいと思わせるW杯の価値と期待。

③西野ジャパンの世界を敵に回した時間潰し

全てのリスクを天秤にかけた上での西野さんの勝負師としての覚悟にやはり拍手を送りたい。現場で一番肌感覚で戦況(おそらくセネガルがコロンビア相手に点を取れないだろう)を理解している西野さんの判断をリスペクトしたいです。

決勝トーナメントも、どんな想定外のドラマが待っているのか。

もう、ずっと終わらないでほしいなー。
























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