EURO フランス



無類のフットボール好きを自負しておりますが、もちろん眠気には勝てません。
したがって、表題の件も要所要所注目カードをつまみ観戦するレベルです。

よしんば3時45分まで起きていられたとしても、前半のうちに意識が朦朧とし、ハーフタイムでご愁傷様、翌朝スポーツナビのテキストレポートで結果をなぞるというのが関の山です。というか日課です。

それでも、調子に乗って統括すると、今大会最大の見所だったのは、月並みですがイタリア代表の躍進です。

完全に油断しておりました。
昨今はスペインを代表するパスサッカーに骨の髄まで毒されていて、サッカーの本番ではつまるところドイツとイタリアが勝つという近代サッカー研究界では自明の常識を忘れておりました。

にしても、「ブッフォン選手以外、全員誰?」状態のチームをここまで輝かせたコンテ監督のフットボールデザイン能力には唸りました。

なぜかイタリア代表が最終ラインからボールを丁寧につなぎ、両ワイドに張りに張ったサイドハーフにボールが渡った瞬間、ダイレクトで(ここ大事!)前線の基準点であるペッレ選手に当てる。ペッレに当たる頃には、既に、セカンドトップが裏に抜け出していて、キーパーと1対1。というシーンを数えきれない程、目撃しました。両ワイドに張ることで、DFライン間が開きトップに当てやすい。そしてダイレクトという決まりがあるので、ペッレがDFの前に入ってボールを受けやすい。のだと思います。件のティキタカとは違い、横につなぎながら、全員が共有しているあるタイミングで一気に縦に長いパスを入れて、ゴールに直線的に襲いかかるというメカニズムが、コンテ先輩の発明であり独自色です。

そういう意味で、そのコンテ先輩のサッカーを分析し、徹底的に対抗策を打ってきたレーブ先輩のドイツとの準々決勝が、事実上の決勝戦であり、現代サッカー戦術最高峰の見本市だったと思います。

プレミアリーグのレスター然り、シメオネのアトレチコマドリード然り、
今大会のアイスランドやウェールズ然り、昨今はフットボールが選手の力量よりも監督のデザイン力で勝負が決まる傾向が強まっている気がしてなりません。

映画が、役者やセットや音楽の影響もありながらも、結局は映画監督の作品であるように。フットボールの試合も、間違いなく監督の作品です。

全体のコンセプトを描き、コンセプトを体現するための選手を配パイし、細かい戦術を実行に移すために毎日の練習を積み重ねる。もちろん最後の勝負は選手の個人技だったり偶然性が左右しますが、そうした不確実性まで計算に盛り込み、全体をデザインしているのが優れた監督なんだと思います。

結果、言いたいことは、イタリアが負けたユーロはもうお腹いっぱいなので、そんなコンテ先輩が来シーズン乗り込むプレミアリーグが楽しみすぎて仕方ないということです。

巨匠モウリーニョ先輩のマンチェスターユナイテッド。
巨匠グアルディオラ先輩のマンチェスターシティ。
巨匠コンテ先輩のチェルシー。
開花間近なクロップ教授のリバプール
引き続きラニエリ爺のレスター。
引き続きベンゲル伯爵のポンコツアーセナル。

フットボール史上まれに見る監督ラインナップです。
あ〜、皆で監督談義したいな〜。

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